「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産となる可能性がほぼ確実となったようで、話題になっていますね。

これまで「隠れキリシタン」という言葉をよく使ってきた気がしますが、今回の「潜伏キリシタン」と何か違いがあるのでしょうか。

世界遺産への登録で私が住む長崎の街もすっかり沸いていますが、遺産のある地域では賛否両論あるよう。
どんなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

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潜伏キリシタンと隠れキリシタンは違うのか

長崎に生まれ育ちながら、潜伏キリシタンと隠れキリシタンという言葉の違いについては今までよく知りませんでした。お恥ずかしい…

調べてみると、使い分けられるだけあって、違いがあるようですね。

厳密に分けるときは、隠れキリシタンが2つに分けられるようで、
1つが「潜伏キリシタン」
もう1つが「カクレキリシタン」です。

戦国時代から江戸時代にかけて、日本では次第にキリスト教が規制を受けるようになり、信者たちは強制的にキリスト教を捨てさせられる事態となりました。そこで、彼らは仏教徒となったように見せかけながら、裏では信仰を続けていたのです。こちらが「潜伏キリシタン」です。

そして「カクレキリシタン」は、明治6年に信仰の自由が認められた後もカトリックに戻らず、潜伏して信仰してきた時代の独自の形態で信仰を続けていた人たちのことを指します。

本来のキリスト教の儀礼などは引き継ぎつつも、指導者が長い間いなかったため、民族的な信仰などもミックスされて独自のやり方で信仰を続けてきました。

長い迫害の時間が人々にいろんな影響を与えたんですね。

世界遺産登録で長崎に変化が?

正式には6月に世界文化遺産の登録がなされるようですが、そうなるとどんな変化が起こるのでしょうか。

今回の報道で、長崎県知事も天草市の市長も喜びの声を表明しています。
いずれも地域の活性化を理由にあげていますが、地元の店主や教会関係者も世界遺産への登録で訪れる人や住む人が増えることを期待しているようです。

一般的に世界遺産となった場合のメリットと言えば、やはり登録されたことでの価値のアップ、観光客が増えて経済効果が見込めるなどがあげられます。今回は、関連遺産が長崎から天草と広域に渡っているので、それらを結ぶルートなども整備されることが今後望めるかもしれません。

反対にデメリットもあるようで、やはり観光客が増えることで遺産が荒らされる可能性があったり、今回は「教会」という地元の人たちの日常的な信仰の場が観光地化してしまうことも十分に考えられます。

世界遺産登録に申請する時点でこのようなことは考慮されているはずですが、価値は認められながらも、これまでの状態で関連遺産が守られることが望まれますね。

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世界遺産登録に思うこと

今回の構成資産のいくつかは訪れたことがありますが、長崎の地でキリスト教の迫害を受けながら、それでも静かに信仰を守り続けた人々の思いがそれぞれの場所で伝わってきます。

その静かながら強い思いをたくさんの人に知ってほしい、そう思わずにはいられませんが、やはり観光地化してしまうことに、私個人としては少しばかり抵抗があります。

その歴史的な価値を多くの人に知ってもらい、後世に伝え、残していってもらうためには、大変有意義なことですが、そこを「日常」として暮らす人達にとって、その日常が壊されることがないよう願いたいものです。

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